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アウグスティヌス 『告白』 [書籍]

アウグスティヌス(354~430)は『告白』で生涯と創世記を語る。

母はクリスチャンだったが、マニ教に傾倒する。
結婚し男子を儲け幸福だったが、妻が奴隷身分でもあり、
母モニカは息子の回心と孫がいながらも身分的に相応しい妻を望む。

そういう時代だった。
この時代の条件を了承すれば、母モニカの息子を心配する敬虔な祈りにも共感することができる。

彼の赤裸々な情欲の告白に読んでいる方が恥ずかしくなるが、
マニ教と決別、学識があったので速やかに司教となる。
世俗で生きることもできたが、献身する道を選び、
異端との戦いを経、教父となった。

創世記において、時間の解説は面白かった。
神は時間の前に存在し、時間を作った。
過去、現在、未来というのは被造物である人間の捉え方だった。

マニ教の棄教は、新プラトン主義に接して精神の世界への探求を開始したことが、ステップとなったようである。
新プラトン主義では究極的には魂が一者と神秘的合一に至るが、
アウグスティヌスは超越者との隔絶が強調されるようだ。
神と人間の間に御子キリストが存在し、母の祈りと神さまが見守ってくださったことに心の底から感謝しているからなのでしょう。

私のような寄り道してきた人間こそ、教父アウグスティヌスを読むことで、
罪の赦しと歴史の面白さを味わうことができるのでしょう。


告白 I (中公文庫)


告白 II (中公文庫)


告白 III (中公文庫)


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