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サムソンとデリラ [映画]

(1949米)旧約聖書『士師記』のサムソンとデリラの物語が原作。

サムソンは、神から人間の力を超えた怪力を与えられていた。
彼は異教のペシリテ人の娘との結婚式の当日、その妹デリラの邪魔があり、式を壊してしまった。

が、紆余曲折を経、デリラはサムソンと再会しサムソンの力の秘密を聞き出す。
そして、それが疑心暗鬼を生じ、悲劇を招くこととなった。

『士師記』まで読んでいれば面白いでしょう。
愛情の変遷が深い。何度も映画化され、オペラにもなるには理由があるのだなと、分かりました。

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元々は相手にしていなかった結婚相手の妹だったが、
その「しつこさ」に参った。

それでも不信が元で、憎しみを招き、えらい目に合う。

愛憎が積み重なり、最後は綺麗な「愛」となる。
見事でした。

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サムソンとデリラ [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ファーストトレーディング
  • メディア: DVD



スポットライト 世紀のスクープ [映画]

(2015米)カトリックの児童虐待を扱う。アカデミー作品賞・脚本賞受賞。
マサチューセッツ州ボストンの日刊紙『ボストン・グローブ』内のチーム「スポットライト」の実話。
被害者、教会側弁護士、神父へと地道な取材を重ね、スクープとなる。

が、単純な「善と悪」ではなかった。
彼らのチームに以前に「20人の虐待神父のリスト」が届いていたが、
当時、無視していた。

他の国の他人事と笑うことは誰にもできない。
誰も「知らんフリ」したことのない人間はいないだろう。

日本では天台宗や真言宗で美少年を「稚児」といって制度として認めていた。
合法少年愛の方がマシだが、胸クソ悪い話である。

このスクープで実態が明らかとなり、人生の区切りとなって前に進めた人も多いだろう。
「スポットライト」に敬意を表したい。

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これは難しい問題で、天台宗・真言宗の合法少年愛は制度として認められたので、
恐らく100%に近い僧侶がそうだったのでしょう。
それが、マシとも言い切れないでしょう。

現在、妻帯可だからノープロブレムなのかというのも言い切れないでしょうね。
考えを整理したいのですが、このような観点で何かいい本を探すのも気が乗らないですね。

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スポットライト 世紀のスクープ[DVD]

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  • 出版社/メーカー: バップ
  • メディア: DVD



ノアズ・アーク 完全版 [映画]

(1999米)「ノアの箱舟」を描いた歴史スペクタクル。

ソドムの町から脱出に成功したのは、ノアの家族とロトだった。
ノアはその後、神から巨大な舟を造るよう命じられ実行する。
さんざん笑われたが、大雨がふり、動物たちと共に船旅がはじまる。
すると、ロトが海賊となっており、食料を廻り戦うこととなる。

とまぁ、ムチャクチャな話だが、クリスチャンならウケるでしょう。

作品の冒頭で脚色をしていると言っているように、
そもそもノアとロトを同時代人としていることからコメディーだった。

外国人が日本の『戦国自衛隊』であれ『信長協奏曲』を鑑賞しても
面白くはないだろう。
ベースとなる歴史認識が前提にあってはじめて、「あり得ない設定」がウケることとなるのでしょう。

マレーシアではノアがイスラム的でないとして上映禁止だったが、
この作品は、創世記をマトモに読んだ人向けの漫画であり、
日本では、禁止するまでもなく、マイナーが必然だったのでしょう。

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前半後半80分ずつで、無理に編集しているので、作りはやや「荒い」。
が、映像美の追求ではなく、困難を乗り越えて家族を作りましょうというコメディーなので、
その観点で楽しむ作品。

ロトの襲撃は笑うしかない。こういうハチャメチャのも好きですね。
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ノアズ・アーク 完全版 [レンタル落ち]

ノアズ・アーク 完全版 [レンタル落ち]

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2003/07/24
  • メディア: DVD



聖衣 [映画]

(1953米)西暦30年頃のローマ帝国側からのキリスト教を扱う。
が、イエスは、エルサレム入場シーンで後姿の1コマのみ。
顔もセリフも描写無しと徹底している。

主役はローマの護民官マーセラス(リチャード・バートン)。
ダイアナと出会うものの、次の皇帝カリグラの目にも留まる。

(このダイアナ役はジーン・シモンズで、『ローマの休日』を断り『聖衣』を選んだそうだ。)

マーセラスが大金で買った奴隷とエルサレムへ向かうが、
このギリシャ人奴隷がイエスがメシアであることを確信する。
磔刑の現場で手に入れたイエスの赤い衣に触れたマーセラスは心がおかしくなる。

そこから面白くなってくる。

最後は、皇帝となったカリグラとダイアナとマーセラスのシーン。
清々しいラストシーンでした。

この作品がハリウッド発のシネマスコープ作品で、縦横比が1:2.35となる。
1953年の全米興行成績で1位だっただけに、現在の鑑賞でもノープロブレム。
アカデミー作品賞は『地上より永遠に』だったが、ノミネートは『ローマの休日』と共にされた。『聖衣』は人から人へ鑑賞を勧められ続ける作品だと思いますね。

映画通ならマストでしょう。

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「殉教」を、それぞれが、ただ1人で自ら選択している。
実に爽やかな笑顔だった。結果的に2人だったのでそれは幸せなことだ。

誰しも、避けることができるならば避けたいが、
避けられないならば「殉教」を選択せざるを得ない。
さもなければ永遠の苦しみがあるからだ。
喜んで神に召されると思えるのは、選択した後のことでしょう。

これは映画の話でも、キリシタン迫害の昔話でもなく、
また、昭和10年代でもない、「同調圧力」という現代の話でもある。
現実に死刑を宣告されることはないが、社会的に抹殺される話はザラだろう。

同じ「抹殺」ならこの作品のように「幸せな殉教」をしたいものだ。

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聖衣 [DVD]

聖衣 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD



ハンニバル・ライジング [映画]

(2007米)ハンニバルシリーズ第4作。

↓、左が公開年、右が作品の時系列。

1991『羊たちの沈黙』(3)
2001『ハンニバル』(4)
2002『レッド・ドラゴン』(2)
2007『ハンニバル・ライジング』(1)

制作順に鑑賞すべきでしょう。

今回、ハンニバル・レクター博士の少年期から青年期で、何故、殺人と「人食い」が平気になったのか明らかにされる。誰もが沈黙する理由があった。

この作品単体では物足りないですが、シリーズを完結させるには、充分に重厚な作品。

嫌悪すべきカニバリズムのはずなのに、主人公に肩入れしてしまいました・・・。


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ハンニバルの復讐相手の1人がキリスト教会に真面目に通っていた。
が、躊躇なく殺した。

礼拝に真面目に通っていても、復讐に合うこともあるのでしょう。
それでも、神の前に罪が赦され、魂は救われていると理解すべきなのでしょうね。

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ハンニバル・ライジング 完全版 プレミアム・エディション [DVD]

ハンニバル・ライジング 完全版 プレミアム・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: GENEON ENTERTAINMENT,INC(PLC)(D)
  • メディア: DVD



ハンニバル [映画]

(2001米)『羊たちの沈黙』の続編。前作がサイコスリラーの傑作として高い評価を得、続編が制作されるものの、ジョディ・フォスターは主役でないためか拒否。ジュリアン・ムーアが担当する。
難を言えば、猟奇殺人を扱うFBI担当者の負の心理の深みを描いてほしかった。

人肉を好む天才博士の、自分を追うFBI女性捜査官との10年越し恋物語。
原作の結末とは違うらしく、物足りない人が多かったようですが、
私は面白く、最後は笑えました。

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完全なネタバレになりますのでご注意。


人を平気で殺し食べる、天才博士だったが、
とうとう彼女に逮捕されてしまった。お互いの手首が手錠で結ばれた。
間もなくFBIの連中が到着する間際、鍵がなかった博士は、刃物で腕を切ることにした。

彼女は叫んだ(と思う)が、次のシーンは、博士は飛行機だった。
食事をしていたが、片腕は包帯をしていた。

悪魔の自己犠牲の愛の発露だった。


私は人肉を食べたことはないが、この博士の気持ちは何となく分かるような気がする。
監獄生活の中で、唯一、リスペクトしてくれた女性だった。
自分が例え悪魔であろうが、生きた証としてカケラでもいいから「聖」なる足跡を残したかったのやもしれない。

むろん、フィクションだろうが、こういう悪魔はいるだろう。

この捜査官がルター派プロテスタントと聞いた悪魔は、
自分が自己犠牲で聖徒を助けた。

いちクリスチャンとしてどう理解したらいいのか、続編を見ることにする。

まぁ、そういう考え方はナンセンスで、単に悪魔自身の問題なのやもしれません。

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ハンニバル [DVD]

ハンニバル [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD



キングダム・オブ・ヘブン [映画]


(2005米)R.スコット監督。第3回十字軍時代を扱う。

主人公バリアンはフランスで鍛冶屋だったが、実はイベリン領主の子だった。
それを告げられエルサレムに向かう。

すると、エルサレム王の妹と出会って不倫の恋に落ちる。
が、サラディンが攻めてきて、亡国となってしまった。

という時代を描く。

壮大でした。籠城戦も、個人間での戦闘も迫力あり、その辺は見応え十分。

が、やはり興行的にはコケたようだ。

劇場公開版では145分なのですが、短縮しすぎで人間関係が分かりにくかった。
ディレクターズ・カット版は194分で、濃厚なようだ。

こちらを借りるべきでした。

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カトリックとイスラムの対立現場であるエルサレム周辺の泥臭い現実を描いた作品。
教皇すら登場しない現場主義はいいのですが、やはり194分版を観るべきでしょう。


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キングダム・オブ・ヘブン/ディレクターズ・カット(2枚組) [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD



塩狩峠 [映画]

(1973日)明治42年、制御不能の汽車を身体で止めた長野政雄の実話。

明治10年に東京で生まれ、近所の友人と足の悪い妹と知り合う。
しばらくして彼らは北海道に引越したが、自分も成人して北海道に行く。

彼らと再会するも、彼女は足と肺結核で寝ていた。立ち歩くことが可能となるまで10年超の愛を育む。
明治42年2月28日、汽車で札幌に向かった。塩狩峠の頂上付近で最後部車両が離れた。
結納の日だった。

長野はハンドブレーキを回すものの、効かなかった。


彼は、耶蘇嫌いの祖母に育てられたが、事情はあったものの聖書を読むこととなる。
長野は、幼少から真面目な人間だった。自らの「傲慢の罪」を苛烈に悔いる人間だった。

生きるためならケガしても飛び降りればいいが、
彼は職業意識と信仰を実践し、殉職した。

作品としても丁寧に作られていたと思いますね。

彼のような、「神や他人のために」死ねるような危険人物は昭和になれば言論活動をしでかしたやもしれない。
治安維持法や不敬罪も覚悟で正論を主張し続けただろう。

内務省にとっては手間がかからなくて実によかった。

語り継がねばならない。

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彼の場合は「結納の日」という肝心な日にこういうことが起こった。

彼の殉職の後、友人は「神よ」と叫んだが、
そう叫ぶしかなかっただろう。

この「結納の日」だったからこそ、彼女は「妻として」誇りを持ち過ごした。

「事実は小説よりも・・・」と言うが、
恨み事を言うのではなく、ただ「神よ」と叫ぶしかない現実を、
それでも神に感謝して生きていくのが被造物のできることなのでしょうね。

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塩狩峠 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: インディーズ・メーカー
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汚れなき悪戯 [映画]

(1955西)スペイン映画。91分。

冒頭、神父が病気の少女に、その日の祭りの起源を語るシーンから始まる。

19世紀前半、ナポレオンが攻めてきて廃墟となった村に、
3人の修道士が修道院を再建した。やがて12人となる。

ある日、捨て子がおり、育てることとなった。「マルセリーノ」と名付けた。
男の子が5歳となり、悪意のない悪戯をしだした。

どういう結果となるのか。

私は、参りました。
今まで観た映画作品で最もシンプルでしたが、最も参りました。

↓の「マルセリーノの歌」を耳で聞いてはいましたが、
全く知りませんでした。作品では日本語の歌詞がつきます。これがいい。


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映画評論家の淀川長治が言うには、↓
http://www.ivc-tokyo.co.jp/yodogawa/title/yodo18002.html

スペイン映画は、宗教的に非常な感覚を持った映画と、派手でセクシーな映画の2種類があるそうだ。

この作品は、前者であり、小説を元とした映画だが、
元々は14世紀イタリアの民間伝承らしい。

非科学的な作品ではあるが、これは事実だと思いますね。

神さまは人の願いを聞き、判断なされる。
義務はないが、神さまは希望を叶えてやった。

この作品で心洗われない人間は、信用ならんでしょうね。

私も淀川と同様、この映画が大好きです。
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汚れなき悪戯 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: IVC,Ltd.(VC)(D)
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尼僧物語 [映画]

(1959米)オードリー・ヘプバーン主演。
修道院に入ったガブリエル(ヘプバーン)は、ベルギーの病院にて看護婦として奉仕していた。が、祖国はナチスに占領される。

弟はレジスタンスのメンバーとなり、父は機関銃で殺された。
神に仕えていたが、葛藤の末、修道院を去り地下組織に向かうことにした。

実在のマリ=ルイーズの半生を描く。

監督は、アカデミー作品賞の『わが命つきるとも』のフレッド・ジンネマン。
共に敬虔たろうとするカトリックを主人公とし、「決断」を描写する。

ヘプバーンは、
「私はこれまでのどんなテーマよりもこの映画のテーマに惹かれました。」
と語った。後の活動に影響を与えたようだ。

151分と長かったですが、私は楽しめました。

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修道院での規則違反の告解がバカバカしい程、細かいことなのだが、
それを院は強いる形となる。

が、それが神への服従となり、シスターもそれを当然と考え、平安となる。

院内を見学した者たちは、厳しい戒律を強いられる彼女たちを哀れんだやもしれないが、ナチス下となると、安全な場所となった。
が、主人公は、危険なレジスタンスに向かう。

人生は皮肉が多く、神の与えてくださった試練と考えないと人は律して生きていけないのでしょう。

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尼僧物語 [DVD]

尼僧物語 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
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