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レジェンド・オブ・サンダー [映画]

(2004英)前半はスコットランド女王メアリーがイングランドに護送されるまで。
後半は、メアリーの処刑と息子ジェームズ6世の半生。計3時間25分。

前半の、メアリーを取り巻く男たちの確執は、やはり昼ドラの比ではない。
①政治の実権を握りたいメアリーの異母兄マリ泊
②夫となるスチュアート家傍系ダーンリー卿
③女王であり人妻でもあるメアリーに好意を寄せるボスウェル伯

マリ泊はエリザベスと通じる。
その人間関係に、新旧キリスト教の対立が加わる。

イングランドの王位継承権の為にはダーンリー卿が最適だったが、
すぐに幻滅することとなる。
カトリックで離婚できないので、夫を殺すことにした女王。
実行犯はボスウェル伯。そして再婚。

そういう歴史の事実を踏まえている脚本なのでしょう。なかなか見応えありました。
むろん、こういう話は漫画で扱われて中高生でも知っている話なのでしょうが、
当時、全く興味なかったので、この作品は勉強になりました。


後半の、スチュアート朝となる息子ジェームズの半生だが、
母の処刑を悲しみ、妻を娶るも男色で家族との関係は冷却し、
エリザベスの死を待って戴冠に至る経緯は、スピード感と重厚感がある。
が、1605年の国王や重臣を爆殺しクーデター政権を樹立しようとするカトリック教徒による火薬陰謀事件がメインの作品だったことを知る。
彼のその後の半生には全く触れていないのが残念でした。

男色を絡ませた下品なシーンは排除しようとしているが、
自己中と嘘で統治する王を見て少し気分が悪くなりましたね。

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同性のみに好意を寄せる場合とは違って、バイセクシャルの件でも、
第2次大戦でドイツの暗号解読に功のあったチューリングには激しく同情した感想を書いた。↓
http://vbc-p.blog.so-net.ne.jp/2016-03-20

が、為政者の場合だと、動機が私益で平気で嘘をつき、他人の生命をもなんとも思わない典型例となるようである。

日本の総理も似たような仮面夫婦を演じているのだろう。とダブッた。
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先日の個人ブログ↓の投稿にに追加しました。
http://1rin.blog.so-net.ne.jp/2016-05-12


レジェンド・オブ・サンダー 前編 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ファインフィルムズ
  • 発売日: 2004/12/03
  • メディア: DVD



キング・オブ・ファイヤー [映画]

(2003英)ヘンリー8世の生涯を描いた史劇。3時間13分。

父ヘンリー7世の臨終の遺言から始まり、自分の臨終で終わる。
「一番大切なのは息子を産むことだ」と教わる。

彼はその為に兄嫁だった妻キャサリンと離婚を決意。英国教会の成立となる。

昔見た昼ドラのドロドロ劇なぞ、この実在の王には比べるべくもない。
国家の関係が個人の関係に影響を与え悲劇を産む。喜劇なぞ無い。

6人の王妃の描写の他、その背後の貴族たちの権力欲・力関係も詳細に描写する。
最後は歴史が示すとおり、アン・ブーリンとの娘エリザベスの治世となるが、
息子を得るために背徳行為を繰り返した王に対して神が与えた王の最期は祝福だったのだろうか。
臨終間際、エドワード王子に語る一言が全てだった。

ドラマは豪華に作られている。
日本でもある3時間程の年末時代劇のようにクオリティーは高い。
が、ヤフーにレビューは無くマイナーなようだ。
類似作品を見ていないなら、英国史・宗教史を学ぶに最適だと思いますね。

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俳優陣のことは無知だが、恐らく、大俳優大女優が多いのでしょう。
素人臭さは皆無。3時間でも長く感じさせなかったですね。

処刑時に首を刈る役人に指輪を渡して、「楽に死なせて」と無言で語るシーンなど、
役者の表情はプロだった。

当時の国家間の関係や教皇との関係、王家の血縁と人間関係を理解するのが難しく、
時折、一時停止して歴史を確認しながら鑑賞しました。

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本日の個人ブログの投稿に追加しました。
http://1rin.blog.so-net.ne.jp/2016-05-08





ジミーとジョルジュ [映画]

(2013仏)戦争から帰還したものの1948年にPTSDにて入院したジミーの実話。
陸軍で地雷の撤去の仕事で人を殺してはいなかったが、激しい頭痛で仕事ができない。

その彼を担当したのが、人類学者ジョルジュだった。
ジョルジュはルーマニア出身のユダヤ人で迫害から1人アメリカに逃れ失業中で、彼自身精神が安定しているとは言えない。
信仰を持たない医者と、カトリックのインディアンとの心が交流する。

ジミーの戦争以前の原因を明らかにし客観視する作業がなされる。
繊細な作品です。

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十字架の縦と横は、

・人間と神さまの縦の関係
・人と人の横の関係

を現しているそうだ。

医者は神を否定していたが、カトリックのインディアンと、
横の友情を抱いた。

人は生きていくにおいて、精神の安定を常に一定に保てる訳ではない。
細かい内容は忘れましたが、
この世の不条理と精神の安定と信仰を考えさせられました。

鑑賞しなければならない理由は見つからないが、
くだらない時間を潰すなら、一度みるべきだと思いますね。

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以前の↓の投稿に追加しました。
http://1rin.blog.so-net.ne.jp/2015-06-14


ジミーとジョルジュ 心の欠片を探して [DVD]

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汚れなき祈り [映画]

(2012ルーマニア)
丘の上にある静かな修道院にて起こった悲劇。2005年の実話のようだ。

孤児院で育ち修道女となっていた親友をアリーナは受け入れられない。
アリーナにしてみれば、親友を神父に取られたと映り、奪還を決意する。

トラブルを起こすので、「悪魔祓い」の儀式で身体を拘束するも、
数日で死んでしまう。


という話を、2時間半の最後の30分で「悪魔祓い」が始まる構成。

修道院の静かな生活と善意で皆が動いている描写は丁寧で、
ついつい被害者少女を「自業自得だろ」と考えてしまうが、
実話なだけに、この結末を彼女の自己責任論や神父の過失で終わらせるのは、
安直感が拭えず、残念ですね。

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うろ覚えですが、
これは同性愛の問題で、片方は悔い改め、神の僕となることを選んだが、
一方は、教会に彼女の心を奪われたと理解してしまった。

悪魔祓いの儀式で不幸にも亡くなってしまった。
神との関係で言えば、善意の行為で問題にならないが、
世俗の法で問題となる。

神を畏れぬ者が神聖な領域に居続けることはできない。
少なくとも、そういうものだと理解が拡がり、
聖なる領域に畏怖の感覚は持つべきでしょうね。

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約2年前の私の↓の投稿に追加しました。
http://1rin.blog.so-net.ne.jp/2014-12-09


汚れなき祈り [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
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ワレサ 連帯の男 [映画]

(2013波)ポーランドの伝記映画。
1980年に労働者による自主的な全国組織の労働組合を結成する。
社会主義国として初、ポーランドの民主化運動を主導する。

ワレサは高校卒業後電気技師として働いていたが、
何度も捕まり、ノーベル平和賞、そして大統領になる。

映画としては、スト前には夫人に時計と指輪を渡し、逮捕、戻ってくる。
というシーンを何度も繰り返すので、かなり気分が重くなる。

当時のローマ教皇ヨハネ・パウロ2世もポーランド出身で「連帯」を支持していた。
ワレサもカトリックだが、決して勉強熱心ではないにもかかわらず、
彼の不屈の精神と思考方法は神が与えたものとしか考えられない。

彼の家庭を中心に撮影しているが、アメリカのCIAが「連帯」への資金調達にローマ教皇庁を使ったエピソードを入れてもよかったと思うのだが。それで貶めることにはならない。
時間が経過した今日なら、むしろ逆で絶賛モノでしょう。

最後に、アメリカでの議会演説のシーン。
彼は真に尊敬と敬愛を受けたのでしょうね。

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「宗教はアヘンである」とマルクスは言った。

そのマルクス影響下にあった社会主義国の中で、キリストは生き続けた。
資本主義国での労働運動はマルクスの影響下だったが、
ポーランドの労働運動は逆だった。

教科書的には自由主義陣営のボス、アメリカ・レーガン政権の勝利により
冷戦は崩壊したとされるのでしょう。

仮に、宗教がアヘンであったとしても、東側アヘンは粗悪品だったのでしょう。


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半年程前に書いた↓記事に追加しました。
http://1rin.blog.so-net.ne.jp/2015-10-01


ワレサ 連帯の男 [DVD]

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神聖ローマ、運命の日 [映画]

(2012伊波)1683年9月11日の「第2次ウィーン包囲」。
神聖ローマ連合軍 x オスマン帝国

狂言廻しはベネチアの神父マルコ。
治療もでき神聖ローマ連合軍を鼓舞し士気を高める。
杖を振りかざす魔法使いのような存在で、現実感無くなるのが難。

彼が早い段階でレオポルト1世にオスマンを警戒し諸国との同盟を提案するも、
危機感が無かったため相手にされなかった。
しかしオスマンは30万の軍勢でウィーンにやってきた。(実際は15万らしい)

対して、篭城軍は15000。

オスマン帝国の大宰相カラ・ムスタファは、ウィーンの次はバチカンを狙っていた。

にもかかわらず、敵の敵は味方ということで、仏ルイ14世は静観する。

ドイツ諸侯の援軍25000.
ポーランド軍2万。
が援軍に駆けつける。

そして、この時代のポーランド(ヤン3世)の突撃は歴史に栄光として刻まれることなった。

製作費の限界からCGに頼らざるを得ず、戦争シーンがゲーム画面に見えるのが残念。
小学生でも楽しめるような脚本なので、玄人ウケはしないのでしょう。
私は新鮮でしたので、面白かったですね。
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神父マルコは、病気治しができた。
これを荒唐無稽と考えれば「笑うところ」でしょうが、
マルコかどうかは別として、こういう特殊能力を持った神父は実際にいたのだろう。
この能力者は医者と同様にピンキリで、最高ヒーラーは死者を蘇らせることができるのでしょう。

この映画はCGを多用し「病気治し」もするので、一般的な日本人にはウケないでしょうね。

ポーランドのカトリックと非カトリックキリスト教徒がウケるのでしょう。

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過去のブログ↓に追加しました。 
http://1rin.blog.so-net.ne.jp/2015-03-24


神聖ローマ、運命の日-オスマン帝国の進撃- [DVD]

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バチカンで逢いましょう [映画]

(2012独)ドイツ・バイエルン出身教皇ベネデイクト16世の祝福を受けようと、
敬虔な同郷のカトリックのお婆さんがバチカンで騒ぎを起こすコメディー。

夫に先立たれた主人公がイタリアで男性と出会い、結婚することになった。
式は、サンピエトロ寺院で集団結婚式。教皇から祝福を受ける前に突然・・・。

娘と孫が呆然とするも・・・。

特に宗教色が強いわけでもない、3世代の女性の恋の物語。
「ローマの休日」を連想させる撮影や小道具で、ドイツ語・イタリア語・ラテン語が入り乱れるのも楽しむそうですが、言語の域は難しいですね。

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以下、ネタバレになりますが、

カツアゲ同然に神父にバイクを献上してしまったのを
主人公は取り戻すが、私はこれが実話なら凄いことだと思いますね。

本来、神父は神の所有物なので、バイクを取り戻すことは、
神のバイクをパクルことになる。

が、それが許されると確信した主人公は、
この神父がバイクを得た経緯が「不法だ」と認識し、
それを神父からパクっても罪にならないと、確信したということだろう。

これは絶賛に値しますね。面白かったです。

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私の↓2015-06-10の投稿に追加しました。
http://1rin.blog.so-net.ne.jp/2015-06-10


バチカンで逢いましょう [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
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アマロ神父の罪 [映画]

(2002墨)メキシコ映画。神父が恋に落ちる話。
と書けば聞こえはいいが、実際はキツイ。

聖職者として歩みだした若い神父の、波乱ドラマ。
メキシコやアメリカで暴動が起こった映画だそうだ。

まぁ、怒るのも無理はない。
嫌らしい悪意が混じっているのは確かだ。

鑑賞者の立場で極端に評価が割れる作品ではあるだろう。
私は、これで影響されることはないです。
警察の不祥事と同様ですね。

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嫌らしい悪意を感じるシーンはあったのですが、
「俺たちは天使じゃない」の一部のシーンと被っていたので、私はウケました。

確証は無いのですが、監督は狙ってたのでしょう。
ギャグで小バカにし、火に油を注いだ結果、暴動となった。
というのが深層なのやもしれません。

地元カトリック、他のカトリック、その他キリスト教徒、非キリスト教徒、
それぞれ受け取り方が違うでしょう。笑い事ではありません。

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今回、↓の記事に追加の形としました。
http://1rin.blog.so-net.ne.jp/2015-09-16


アマロ神父の罪 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
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俺たちは天使じゃない [DVD]

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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 [映画]

(2014英米)第2次大戦時の英国、ドイツ軍の暗号解読に携わったアラン・チューリングの伝記映画。
今日のコンピュータを彼が創った。が、詳細は半世紀にわたる極秘扱い。
彼の携わった任務に驚く。鑑賞しなければならない作品だった。

チューリングは同性愛の罪で1952年にホルモン療法を受けるが、
脳への影響もあり失意のうちに自殺している。
青酸カリ入りのリンゴでの最期だそうだ。
2009年には政府が正式に謝罪するにいたるも、彼の功績に対してあまりにも残酷である。

映画作品としては少年期・戦時・戦後と3つの時間を絶妙に交差させ、鑑賞者の歓心を完全にコントロールしている。異性との恋愛と同性愛、仕事仲間との人間関係といった一般的なシーンを中心にし、軍と情報部MI6と研究チームの国内組織の微妙な関係、
そして、敵の敵は味方でソ連へのスパイを放任するMI6の冷徹な思考も描かれている。
あらゆる鑑賞者を想定した作品なのでしょう。

彼の数学や抽象思考を表現する戦後のシーンが1分程あるのが、
脚本グラハム・ムーア氏の最も想いが詰まっているシーン。
アカデミー賞脚色賞を受賞したスピーチで「Stay weird, stay different」と言ったのは、スティーブ・ジョブズの「stay hungry stay foolish」に掛けたそうだ。
アップルのリンゴが、彼へのリスペクトだという説に「そうなのだろう」と思う。

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実際は、ヒューミント(人間を媒介とした諜報活動)で情報を得ていて、
チューリングの解読でチェックしていたようだ。
このチェックが無ければ、確信を持った正しい判断ができなかっただろう。

その多大なる国家への貢献をした人物に対しての仕打ちは残酷に過ぎるでしょう。
私は神は同性愛を認めていないと考えるが、現世で非人道的な扱いは論外でしょう。

が、生まれ持った性質を最大限尊重するにしても、
養子を持つ権利が許されるとは思えないなど、完全なる自由も考えにくい。
チューリングが残念でならない。




↓の個人ブログの内容に追記しました。
http://1rin.blog.so-net.ne.jp/2015-10-03

俺たちは天使じゃない [映画]

(1989米)刑務所脱出後コメディー。
コソ泥だったネッドとジムは、死刑囚に銃で脅され仕方なく脱獄してしまう。

カナダの国境付近の町にやってくるが、偶然が重なり神父を装うこととなる。
これは、デ・ニーロとショーン・ペンが神父に化けてカナダに逃げようとするドタバタ劇。

間違って住民から敬意を受けるが、それが彼らに影響を与える。

障害を持つ子どもを養うため娼婦をしていた女と、望まずも脱獄囚となり引き返せなくなった男たちが、
どういう選択をするのか。

現実と信仰と神の差配にコメディーでありながらも、
1年以上も前に見た作品だが、今だ考えてしまう作品です。

まだの方は是非、ご覧ください。


俺たちは天使じゃない [DVD]

俺たちは天使じゃない [DVD]

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