SSブログ

日本における福音派の歴史 [書籍]

19世紀~20世紀、日本のプロテスタント福音派の歴史が記される。

↓はあくまでプロテスタントや聖公会に限っているので、
他宗教・他派の状況は分からない。

danatu.jpg

日本では、宗教戦争や弾圧はなかったという者もいるが、
無知ならともかく、知って言っておれば、神罰が落ちるのは言うまでもない。

この書を読むまでは、軍隊形式である「救世軍」のことを、「チョット危ない人たちかも?」と思っていたが、そんなことはない。
昭和10年代までは、廃娼運動など社会運動に突き進み、
内務大臣が挨拶に来ることもあるなど、リスペクトされていた。

今日、救世軍にしろ、福音派そのものも、もっと理解されなければならない。

huku.jpg
いのちのことば社 -書籍のご案内
http://www.wlpm.or.jp/pub/serch_detail.cgi?keys33=%E4%B8%AD%E6%9D%91%E6%95%8F

シク教 [書籍]

シク教の教義、歴史を知ることができる。
欧米のキリスト教圏の読者を対象としている原著を日本語訳したもの。

よって、キリスト教との類似性が意識されているので、
私は読みやすかった。

約500年の歴史を持つ一神教で、神の下で平等を説いている。
ムガールやインドで少数派として誇り高く生きてきた。

約2300万の信徒がおり、敬虔の度合いは違えど真摯な人たちでしょう。
外敵からの攻撃には命を懸けて反撃する。
彼らの正義に納得できる経緯が丁寧に記されている。

日本から視界に入りにくいが、
インド内のシーク教、ジャイナ教、仏教やキリスト教と良識ある少数派の人権状況に関心を寄せることで、人類の良識のプラス影響へと連動すると思いますね。

シク教 (21世紀をひらく世界の宗教シリーズ)

シク教 (21世紀をひらく世界の宗教シリーズ)

  • 作者: グリンダル・シン マン
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 単行本



歴史を考えるヒント [書籍]


歴史を考える際、言葉の果たす役割がどれだけ大きいか力説する。

例えば、「百姓」を今日では農家と限定して捉えている。
明治初期の統計でも、農家の割合が現実より多い。
実際は、林業や漁業、養蚕であれ、「百姓」だったそうだ。

又、「日本」や「関東」「関西」の言葉の起源を知らず使っている人は多い。

目からウロコの事例が集められている。


直接、宗教に言及しないが、宗教史を含め歴史を学ぶ際に、
頭の隅に置いといた方がいい、心構えを教えてくれる。
本当は、20代の教養書なのでしょうね。


歴史を考えるヒント (新潮文庫)

歴史を考えるヒント (新潮文庫)

  • 作者: 網野 善彦
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/08/27
  • メディア: 文庫



世界三大宗教 [書籍]

これは、大学生以上なら教養としてサラッと読むのに最適でしょう。

もう3ヶ月も前なので、目次を眺めても何が書いてあったか思い出せない。
32人の論客の文章だが、9割面白かったですね。
残りはそもそも興味なかったが、それでも勉強にはなった。(はずだった)

新鮮だったのが、柄谷行人氏の「普遍宗教は蘇る」。
他の論者は過去や現在を語っていたが、
氏は、宗教を観察し帰納的に得た枠組みをシステムとして説明していたと記憶する。
シビれましたね。

別の次元で考える訓練として、これだけでも価値ある文章のはず。


文藝春秋SPECIAL 2016年冬号 「ニュースがわかる!  世界三大宗教」

文藝春秋SPECIAL 2016年冬号 「ニュースがわかる! 世界三大宗教」

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/11/26
  • メディア: 雑誌



「昭和天皇実録」とカトリック [書籍]

岩波新書からの原武史氏の著作では、どうも昭和天皇は占領期に改宗を考えていたらしい。
かなりカトリック関連施設に通ったり人と会ったりしている。


実際は在外公館や領事館は廃止されているので、GHQ以外に接触できる貴重な存在だったということでしょう。
改宗をシミュレーションしたことは一度はあっても二度は無いと思いますね。

昭和20年1月頃の「一発殴ってから講和」という「一撃講和論」に拘り、
7月末まで勅旨を神社に派遣して戦勝祈願したことで、
著者はそのことで、「戦争責任」を示唆しているが、
実際は、ソ連に仲介を頼む近衛の案で、沖縄も含めた国土と国民の労働力の提供を承認しているので、7月末からの神社での祈願は単なる「ヤケクソ」でしょうね。

確かホーリネスやメソジストの弾圧もあったが、パウロのような改心はなかった。
あれば、共産主義とはいえ恐怖を動機としてマッカーサーに防衛を依頼する交渉はしない。

占領期カトリックへ接近したが、昭和26年頃から最小限にする。
あくまでリアリストとしての判断で、賢明だと思いますね。

この著作は、同意できない箇所が若干あったとしても、
書かれている「改宗の噂」関連の事実や幼少から青年期の成長過程を参考にするなら良書だと思いますね。

「昭和天皇実録」を読む (岩波新書)

「昭和天皇実録」を読む (岩波新書)

  • 作者: 原 武史
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2015/09/19
  • メディア: 新書



カトリック関連書籍 [書籍]

今回は、ローマ関連で読んだ本を思い出してみました。
読書家ではなかったので限られてます。

「神はいない」と嘯いていた学生の頃に『魔女狩り』 を読む。
逃げ道のない裁判の解説だったので、キリスト社会は暗く残忍だという印象が焼きついた。
実際は旧約聖書の考えを実行しているので、批判をカトリックに限定しユダヤ教は擁護する言論というのはフェアでないという以前の問題だろう。紀元前イスラエルは聖絶、略奪、当然でしたからね。


魔女狩り (岩波新書)

魔女狩り (岩波新書)

  • 作者: 森島 恒雄
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1970/06/20
  • メディア: 新書



昨年に久々に読んだ異端本が『異端者たちの中世ヨーロッパ』。
これは、カタリ派やワルド派やマニ教、グノーシスといった思想的な違いも丁寧に解説されていた。
実際に異端と認定し殺害するまでには、時間と手続きがあり、
はじめは正しい「指導」からはじまる。
が、豪華絢爛な教会に対して使途的清貧が本来のキリスト者だとする立場からは受け入れられない。
当時は絶対的な存在だった教会権力を「サタン」と捉えた者たちの壮絶な足跡を追う。

が、異端とされた側が本来のキリスト教かと言えば、それも一概に言えない。
その異端史から、聖書を母語で読もうとする動きが現れる。ルターが最初ではない。
今はあまり記憶にないですが、一度じっくり読む価値はあると思います。


異端者たちの中世ヨーロッパ (NHKブックス No.1165)

異端者たちの中世ヨーロッパ (NHKブックス No.1165)

  • 作者: 小田内 隆
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2010/09/25
  • メディア: 単行本




とまぁ、中世暗黒時代は教会絶頂時代。
19世紀末から存続そのものが危機となり20世紀の盛り返し、
第2バチカン公会議を経て世界的な反共多宗教包囲戦略に成功する。
宗教的包括主義に立ちながらも柔軟な姿勢に転じた強かなな努力に頭が下がりましたね。
これも詳細は忘れましたが一度は読むべき教養書なのでしょう。


バチカン近現代史 (中公新書)

バチカン近現代史 (中公新書)

  • 作者: 松本 佐保
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2013/06/24
  • メディア: 新書



宗教一般入門書 [書籍]

●これだけは知っておきたい 世界の宗教 知識と謎80 (オトナの常識)

3000万のシーク教をヒンズー教の改革派と数行程度で納め、
明治期に4000万の人口で300万の信者がいた天理教は1行。
古神道の神主である著者の好みが反映されたオレ様教養書。

「謎80」とタイトルをつけたのは出版社でしょうが、
独自に切り込んだところが欲しかったですね。
図書館で偶然手にしサラッと読みましたが、
知らない新興宗教の解説を読み、満足できました。


これだけは知っておきたい 世界の宗教 知識と謎80 (オトナの常識)

これだけは知っておきたい 世界の宗教 知識と謎80 (オトナの常識)

  • 作者: 竹内 睦泰
  • 出版社/メーカー: ブックマン社
  • 発売日: 2006/04/26
  • メディア: 単行本





●教養としての日本宗教事件史 (河出ブックス)

目次を見ても分かるように、
「茶道はドラッグとして輸入された」など、
今となっては歴史だが、当時は「事件」だったことが書かれている。

素人が教養として一読する価値は充分あるでしょう。
現代の毒のある事件は避けているようだが、
次の著作に譲ろうとしていると期待したい。


教養としての日本宗教事件史 (河出ブックス)

教養としての日本宗教事件史 (河出ブックス)

  • 作者: 島田 裕巳
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2009/10/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



宗教者の言論 - 大逆事件、高木顕明 - [書籍]

高木顕明は、大逆事件で死刑になり獄中自殺した僧侶。
彼は日露戦争や公娼制度に反対した。


そういう人が少数いてもいい。
むしろ、宗教者で反対する人がいなければ不健全。

内村鑑三も日露戦争に反対したが、言い方やニュアンスはどうだったのでしょう。
積極的に運動を展開するなら政府も積極的に言論で広報すればいいし、
限られた媒体で消極的に言う分ならむしろ放置しなければならんでしょう。


大逆事件で刑死した12人の内、4人が実際に計画に携わった者で、
残りは「ついでに」「掃除」した。


高木は、「余が社会主義」で明確に自分の思想がマルクスではないと書いているようだ。
なのに、真宗大谷派は、高木をあっさり除籍にして妻子を寺から追い出す。
娘は小学生で働くこととなった。
苦労と努力の末、後年天理教にて指導的立場になる足跡を池田士朗は著作に残している。
1996年に真宗大谷派は僧籍復帰で名誉回復をするも、遅いだろう。

-------
「余が社会主義」


緒言。余が社会主義とはカールマルクスの社会主義を禀けたのでない。
又トルストイの非戦論に服従したのでもない。
片山君や古川君 (ママ)や秋水君の様に科学的に解釈を与へて
天下に鼓吹すると云ふ見識もない。
けれども余は余丈けの信仰が有りて、実践して行く考へであるから
夫れを書て見たのである。何れ読者諸君の反対もあり御笑ひを受ける事であろ-。
しかし之は余の大イニ決心のある所である。
-------


中山みきの足跡と群像

中山みきの足跡と群像

  • 作者: 池田 士郎
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2007/01/24
  • メディア: 単行本



鈴木崇巨牧師 書籍 [書籍]

この方の本は読みやすかったですね。

↓の本は、クリスチャン向けの入門書。
聖書やキリスト教の一般的な解説ではなく、キリスト教社会の慣習が書かれている。
外向けのCMではなく、新入社員研修の本として良書でしょう。
教派は無関係。氏がエキュメニカル派で教派主義に反対されているそうですが、
主義主張のトゲトゲしさは皆無で柔らかい清潔な文体でした。

もう、数ヶ月前に読んだ本なので内容はスッカラカンに忘れてしまいましたが、
読後に爽やかに満足したのは覚えています。


キリストの教え―信仰を求める人のための聖書入門

キリストの教え―信仰を求める人のための聖書入門

  • 作者: 鈴木 崇巨
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2007/11
  • メディア: 単行本




↓も、分かりやすかったですね。
韓国は儒教の国だったが、そこへ日韓併合があって神社参拝を強制した反動が大きいのでしょうね。
日本では仏教の檀家制度の名残と神社参拝の慣習の重力がキツイのでしょう。
タイトルのように詳細を平易な言葉で解説してくれています。


韓国はなぜキリスト教国になったか

韓国はなぜキリスト教国になったか

  • 作者: 鈴木 崇巨
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2012/09/24
  • メディア: 単行本



内村鑑三 書籍 [書籍]

これまで毎日1章としてきましたが、日曜は別の記事にします。
宗教関係の本か映画を扱いたいと思います。
(こちらのブログではネタバレありとします)

今回は、「内村鑑三」

読んだ順は、

①『内村鑑三』富岡幸一郎(著)
②『Japan and Japanese』内村 鑑三 (著), 石井 寛 (翻訳)
③『How I Became a Christian』内村 鑑三 (著) 河野 純治 (翻訳)

が、②③①が順当でしょうね。
①は、読みましたが、スッカラカンに忘れました。


『Japan and Japanese』(代表的日本人)で5人を挙げる。

西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人

涙ものです。これだけの内容を内村は書けたし、石井氏の訳も素晴らしかった。
読んでよかったと涙がでそうになった本はそうないですね。

①③はクリスチャン向けでしょう。
昨年の10月まで5秒で話せる程度しか知りませんでしたが、
好きになりました。

ぞっこんとなったのですが、内村本はこれで当面STOPでしょう。


名著「代表的日本人」を読む: 日本とは何か、そしてどう生きるか (知的生きかた文庫)

名著「代表的日本人」を読む: 日本とは何か、そしてどう生きるか (知的生きかた文庫)

  • 作者: 内村 鑑三
  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 2011/12/21
  • メディア: 文庫




ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか (光文社古典新訳文庫)

ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: 内村 鑑三
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/03/12
  • メディア: 文庫




内村鑑三 (シリーズ宗教と人間)

内村鑑三 (シリーズ宗教と人間)

  • 作者: 富岡 幸一郎
  • 出版社/メーカー: 五月書房
  • 発売日: 2001/03
  • メディア: 単行本